ひつじの添い寝SHEEP LULLABY

寝酒は眠りにどう働く?寝つきと、そのあとの時間

公開日 2026年10月24日 / 文責 株式会社エム・ジー・ケイ

眠るために、寝る前に一杯飲む。いわゆる「寝酒」については、公的な資料にもはっきりした記述があります。この記事では、厚生労働省の資料に書かれている範囲だけを取り出して、寝つきのときと、そのあとの時間とに分けて整理します。お酒をやめましょう、と申し上げるページではありません。何がどこまで書かれているのかを知ったうえで、ご自分で決めていただくための材料としてお読みください。

この記事でわかること
  • 公的な資料が「寝酒」をどう説明しているか(寝つきと、そのあとの時間で書き方が変わること)
  • 量・タイミング・体質の差について、資料に書かれている範囲
  • 長く続けてきた習慣を見直すとき、急がないほうがよいとされる理由と相談先

公的な資料は「寝酒」をどう書いているか

寝酒は、昔から「眠れない夜の手段」として語られてきました。ご家族から教わった、という方もいらっしゃると思います。まずは、厚生労働省の資料にどう書かれているかを、そのまま見てみます。

晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと(寝酒)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある。

(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)

これは「睡眠と嗜好品について」という章の、冒頭に掲げられている一文です。同じ厚生労働省が運営する e-ヘルスネットにも、次のような記述があります。

睡眠薬代わりに飲用されることの多いアルコールも決して勧められません。アルコールは一時的には寝付きをよくしますが、深いノンレム睡眠を減らす、中途覚醒を増やすなど、睡眠の質を低下させるからです。

(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)

言い回しは違いますが、どちらも同じ形をしています。寝つきのところと、そのあとの時間とを、分けて書いているのです。ここを押さえておくと、以降の話が読みやすくなります。

「寝つき」と「そのあとの時間」は分けて書かれている

寝酒の話がかみ合わなくなりやすいのは、話し手と聞き手が別々の時間帯を指しているからだと思います。「飲むとすぐ眠れる」という実感は、寝つきの話です。資料が「悪化する可能性がある」と書いているのは、そのあとの数時間の話です。どちらかがうそをついているわけではありません。

ですからこの記事では、「寝酒は良いか悪いか」という形では扱いません。夜のどの時間帯について、資料が何と書いているのかを、順に並べていきます。判断の材料としてお使いください。

はじめにおことわり

このページは、公的な資料に書かれている内容を整理した読み物です。病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。飲酒を控えるべきかどうかの判断は、体質や持病、飲んでいるお薬によっても変わります。ご自身の事情については、かかりつけの医師や薬剤師におたずねください。

夜の前半と後半で、書かれていることが変わる

睡眠ガイド2023 の本文には、もう少しくわしい書き方があります。

アルコール(エタノール)は一時的には寝つきを促進し、睡眠前半では深い睡眠を増加させます。しかし、睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増加するにつれて中途覚醒回数が増加することが報告されています。

(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)

前半と後半で、書かれていることが逆を向いています。前半については「深い睡眠を増加させます」と書かれており、後半については「顕著に悪化し」と書かれている。しかも後半の変化は、飲む量が増えるほど大きくなる、という書き方です。深い眠りという言葉については、ノンレム睡眠のページでも説明しています。

資料は、その理由についても触れています。アルコールは体のなかで分解されてアセトアルデヒドという物質になり、これが二日酔いの原因になると同時に、睡眠を妨げる方向に働く物質を増やす、という説明です。つまり、飲んだお酒は寝ついたところで役目を終えるのではなく、寝ているあいだも体のなかで働き続けている、ということになります。

夜中に目が覚めてしまう、明け方に起きてしまう、朝に疲れが残っている。そうした心当たりがある方は、その時間帯こそが資料の言う「睡眠後半」にあたる、と考えてみると腑に落ちるかもしれません。

「少しなら」「毎日だから平気」をどう受けとめるか

寝酒については、よく聞く言い方がいくつかあります。それぞれについて、資料に書かれていることを並べてみます。左が日常の言い方、右が資料にそった受けとめ方です。

よく聞く言い方資料にそった受けとめ方
「少しなら大丈夫」少量であれば眠る前にアルコールの多くは代謝される、と書かれています。一方で、多量に飲んだ場合は高い割合で睡眠に悪影響が生じる、とも書かれています
「寝つきが良くなるから」寝つきを促す働きがあることは資料も認めています。ただし同じ資料が、そのあとの時間については別の書き方をしています
「毎日飲んでいるから慣れた」連用すると依存や耐性ができ、飲まないとよく眠れない状態に至る可能性がある、と書かれています
「自分は強いほうだから」代謝する力には性差・個人差があり、加齢によっても低下する、と書かれています

表にしてみると、資料は「絶対だめ」とも「これなら安心」とも言っていないことが分かります。書かれているのは、どういう働き方をするか、どこに個人差があるか、という話です。飲む量を決めるのはご本人ですが、その判断材料は、実感だけでなく資料の側からも取っておいたほうが確かだと思います。

分解する力には、生まれつきの差がある

資料には、アルコールを分解する酵素の働きに個人差があることが書かれています。この酵素の働きが弱い方は、飲んだあとに顔が赤くなりやすいという特徴があり、日本人を含むアジアの人には、この働きが弱い方が比較的多いとされています。そして、働きが弱い方は少量でも影響を受けやすいため、より注意が必要だと書かれています。

「同じ量を飲んでいるのに、自分だけ翌朝つらい」ということが起きるのは、意志や体力の問題ではなく、こうした差によるところが大きいのかもしれません。人と同じ量を目安にしない、というだけでも、受けとめ方はずいぶん変わります。

続けてきた習慣を見直すとき、急がないほうがよい理由

ここまで読んで、「では今夜からやめよう」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。ただ、資料はその点についても、少し慎重な書き方をしています。

毎日寝酒を続けている場合、急にやめると眠れなくなることがある、と書かれています。そのうえで、週単位で少しずつ量を減らしていく方法と、医療機関で相談しながら進める方法が挙げられています。急にゼロにすることが、いつでも良い進め方だとは書かれていない、という点は覚えておいてよいと思います。

長く続けてきた習慣ほど、夜の過ごし方全体に組みこまれています。お風呂を出て、テレビをつけて、一杯飲んで、寝る。その流れの一部だけを抜くと、残りの手順も居場所を失います。だからこそ、減らすなら少しずつ、というのは理にかなった言い方だと思います。

そして、眠れない状態が続くときや、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。お酒との付き合い方についても、ご自身の体質や飲んでいるお薬をふまえて相談できるのは、資料ではなく目の前の先生です。

お酒のかわりに、夜の終わりの合図を用意しておく

寝酒を減らしたい方に、ひとつ考えていただきたいことがあります。それは、その一杯が果たしていた役割です。

多くの場合、寝酒は「一日が終わった」という合図を兼ねています。仕事のことを考えるのをやめてよい時間、画面を閉じてよい時間。その区切りが無くなると、量を減らしたはずなのに、かえって寝つけない夜が増えてしまうことがあります。減らすときは、抜いたぶんの合図を、別のもので置き換えておくと続けやすくなります。

置き換えの候補は、なるべく手間のかからないものが向いています。たとえば、決まった音を流す。眠るための音の図鑑では、雨・波・たき火といった音の種類ごとに、どんな聞こえ方をするのかをまとめています。毎晩同じ音を流すだけでも、「これから眠る時間だ」という区切りにはなります。夜更かしそのものを見直したい方は、夜更かしをやめたい人へもあわせてご覧ください。

音を使うときに決めておきたいことを、いくつか挙げておきます。

  • 音量は「聞こえるか聞こえないか」くらいまで小さくします。決め方は眠るときの音量の決め方にまとめています
  • 途中で大きく変化しない、同じ調子の続く音を選びます
  • 音を止めるために起き上がらなくてよいよう、時間がきたら自動で止まるようにしておきます
  • 手元にスマートフォンを置くなら、画面は伏せておきます。寝る前のスマホとの付き合い方も、あわせてご覧ください
  • 同居の方がいる場合は、翌朝に一言たずねて、音量を決めておくと安心です

一杯を、いきなり音に置き換えられるとは思いません。ただ、夜の終わりに何か決まった手順があるだけで、「飲まないと落ち着かない」という感じは、少しやわらぐことがあります。今夜すぐでなくてかまいませんので、置き換えの候補として頭の隅に置いておいていただければと思います。

よくあるご質問

お酒を飲むとすぐ眠れます。それでも寝酒はよくないのでしょうか。

寝つきが早くなること自体は、公的な資料にも「一時的には寝つきを促進する」と書かれています。ただし同じ資料が、夜の後半の眠りについては別の書き方をしています。すぐ眠れるという実感と、そのあとの時間の話は、切り分けて受けとめていただくのがよいと思います。飲む・飲まないをこの記事で決めることはいたしません。

量を減らせば問題ないですか。

資料には、少量であれば眠る前にアルコールの多くは代謝される一方、多量に飲んだ場合には高い割合で睡眠に悪影響が生じる、と書かれています。代謝する力には性差・個人差があり、加齢によっても低下するとも書かれています。どの量までなら差し支えないかという線引きは、この記事では示せません。

毎晩の習慣になっています。急にやめても大丈夫でしょうか。

資料には、毎日寝酒を続けている場合に急にやめると眠れなくなることがある、と書かれています。週単位で少しずつ量を減らしていく方法と、医療機関で相談しながら進める方法が示されています。ご自分だけで決めずに、一度かかりつけの先生におたずねください。眠れない状態が続くときや、日中の生活に支障が出ているときも、医療機関にご相談ください。

出典・参考

※本文の引用は、上記資料の記述をそのまま引いたものです。引用元にあった参考文献の番号は省略しています。どこまでなら差し支えないという飲酒量の目安については、上記資料に記述を確認できなかったため掲載していません。

ご注意

この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。

眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。