ひつじの添い寝SHEEP LULLABY

寝室の環境を見直す|温度・湿度・暗さ・物音の順に

公開日 2026年10月27日 / 文責 株式会社エム・ジー・ケイ

寝室を整えると言っても、どこから手をつければよいのか迷います。カーテンを替えるのか、エアコンの設定を変えるのか、それとも寝具なのか。この記事では、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に書かれている範囲にそって、温度・湿度・暗さ・物音という順に見ていきます。出どころを確かめられた数値だけを、そのまま書くことにしました。

この記事でわかること
  • 公的な資料が寝室の環境について挙げている項目と、その順番
  • 温度は夏と冬で書かれ方が違うこと、湿度の数値は寝室ではなく寝床のなかについて示されていること
  • 物音は「静かにする」が出発点で、置き換えはその次に来る、という並び

公的な資料は、寝室の環境をどう書いているか

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」には、「良質な睡眠のための環境づくりについて」という章があります。冒頭に掲げられているポイントから、寝室に直接かかわる部分を引きます。

寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる。
できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる。

(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)

同じ章では、寝室は暑すぎず寒すぎない温度がよいこと、就寝の約1〜2時間前に入浴して体を温めてから寝床に入ると入眠しやすいことも、あわせて挙げられています。厚生労働省 e-ヘルスネットの「快眠のためのテクニック」でも、寝具に加えて寝室の温度・湿度・音・光といった環境が取り上げられています。

並べてみると、出てくる項目は多くありません。温度、湿度、光(暗さ)、音(物音)、そして寝具。この記事では、このうち手をつけやすい順に4つを見ていきます。

なぜ「温度・湿度・暗さ・物音」の順なのか

順番に決まりがあるわけではありません。ただ、実際に手を動かすことを考えると、この並びが動きやすいと思います。温度と湿度は、エアコンの設定を変えるだけで今夜から試せます。暗さは、カーテンや照明を替えるまでは無理でも、画面を伏せる・持ちこまないという形なら費用がかかりません。物音は、自分の側では変えられない部分(外の交通量や隣室の生活音)が多く、対処に工夫が要ります。

つまり、今夜変えられるものから順に並べたのがこの4つです。

温度|夏と冬では、書かれていることが違う

寝室の温度について、資料はひとつの数字を示しているわけではありません。夏と冬とで、別々の書き方をしています。

夏については、寝室の室温が上がったときに睡眠時間が短くなり、睡眠効率が低下することが実生活での調査で報告されている、と書かれています。そのうえで、夏の寝室はエアコンを用いて涼しく保つことが重要と考えられる、と続きます。眠るときにエアコンを切る習慣のある方は、ここは一度考え直してみてもよいところだと思います。

冬については、少し様子が違います。寝室の温度が下がったときに睡眠が悪くなることを示した報告は乏しく、寝具を十分に用いて寝床のなかが暖かく保たれていれば、睡眠への影響は少ないと考えられる、という書き方です。つまり冬は、部屋全体よりも寝床のなかの暖かさが先に来ます。

ただし資料は、冬の寒さについて別の観点も挙げています。夜中にお手洗いへ行くときや、早朝に起きたときに急な寒さにさらされると血圧が急に上がることがあるため、WHOの住環境ガイドラインが冬の室温を18℃以上に保つことをすすめている、という紹介です。これは眠りの質のためというより、体を守るための目安として書かれています。

季節資料に書かれている考え方今夜できること
夏室温が上がると睡眠時間が短くなり、睡眠効率が下がると報告されている。エアコンで涼しく保つことが重要と考えられる切って寝るのをやめ、静かな運転で朝までつけておく
冬寝床のなかが暖かく保たれていれば、室温が低くても睡眠への影響は少ないと考えられる寝具を足す。寝る前に布団のなかを温めておく
冬(別の観点)急な寒さは血圧の急な上昇につながるおそれがある。WHOの住環境ガイドラインは冬の室温18℃以上を推奨夜間の廊下やお手洗いの寒さを減らす

寝る前に過ごす部屋の温度

もうひとつ、見落とされやすい記述があります。冬に行われた調査から、就寝前に過ごす部屋の室温が低いと、寝床に入ってから眠るまでの時間が長くなることが示されている、というものです。

寝室だけを暖めても、その直前まで寒いリビングにいたのであれば、体は冷えたままです。眠りにつくときには体の内側の温度が下がっていく必要がある、と説明されますが、そもそも十分に温まっていなければ、下がりようがありません。このあたりは深部体温のページでも触れています。入浴のタイミングが繰り返し出てくるのも、同じ理由からです。

湿度|数値があるのは「寝室」ではなく「寝床のなか」

湿度については、部屋の湿度を何%にすればよいという数値を、今回参照した資料のなかでは見つけられませんでした。睡眠ガイド2023にあるのは、寝室の温度・湿度・照明の強さを調整することが有効だ、という記述までです。

ただし、数値がまったく無いわけではありません。e-ヘルスネットには、寝床内の温度は33℃、湿度は50%の状態が最適とされる、と書かれています。これは部屋の空気ではなく、掛け布団の内側の話です。部屋の湿度計を50%に合わせるという意味ではありません。

寝床のなかを測るのは簡単ではありませんので、数値よりも、ご自身の実感を手がかりになさるほうが現実的だと思います。

  • 寝具が湿っぽく感じる、朝に布団が重い
  • のどが乾いて目が覚める、朝にのどがいがらっぽい
  • 結露が出る、窓まわりがかび臭い

心当たりがあれば除湿や加湿を試す価値がありますし、なければ湿度は後回しでかまいません。

暗さ|寝室の光と、持ちこむもの

光については、資料の記述がはっきりしています。寝ているあいだは、低い照度の光でも夜中に目が覚めている時間を増やし、睡眠の効率を下げることが報告されており、寝室の照明にも配慮することが重要と考えられる、と書かれています。

そのうえで挙げられているのが、冒頭に引いた「寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝る」という一文です。近ごろの照明や画面には体内時計への影響が強い短い波長の光が多く含まれている、というのが理由として説明されています。体内時計と光の関係については、用語のページでも扱っています。

とはいえ、目覚まし代わりにスマートフォンを枕元へ置いている方は多いと思います。持ちこまないのが難しければ、次のような段階でも構わないでしょう。

  • 画面を下向きに伏せて置く
  • 通知の光がつかないように設定しておく
  • 手を伸ばせば届く位置ではなく、部屋の反対側に置く
  • 寝る前の使い方そのものを見直す。寝る前のスマホとどう付き合うかにまとめています

また資料には、夜間にお手洗いへ行くことの多い高齢者について、転倒しないよう間接照明や足元灯を活用し、目に入る光の量を減らす工夫が重要だと書かれています。真っ暗にすることだけが正解ではない、ということです。

物音|静かにするか、置き換えるか

音については、資料は実験の結果を紹介しています。

睡眠中に騒音曝露をさせた実験研究からは、騒音によって覚醒頻度が増加し、深い睡眠が減少する結果が報告されています。しかし、騒音による睡眠への影響は、慣れによって減少する現象がみられたことから、実験研究では影響を過大評価している可能性が示されています。

(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)

後半の一文が親切だと思います。音は眠りを妨げる方向に働くけれども、人は慣れていく面もある、と書いてあるわけです。線路沿いにお住まいの方が電車の音で目を覚まさなくなるのは、この「慣れ」でしょう。

資料はまた、騒音に対する感じ方には個人差があるとしたうえで、欧州のWHOガイドラインが夜間の屋外の騒音を40dB未満とすることをすすめている、と紹介しています。屋外の音が気になる場合には、防音の機能をもった窓や壁で音を遮ることも重要と考えられる、とも書かれています。防音や遮光の機能があるカーテンに替える、寝床の位置を窓からできるだけ離す、といった工夫も挙げられています。

つまり順番としては、まず静かにする。それが難しいときに、次の手を考えるという並びです。窓を替えるのはすぐにできませんが、寝る位置を窓から離すくらいなら今週末にでも試せます。

音で置き換えるときに決めておくこと

それでも音が残る部屋はあります。上の階の足音、遠くの幹線道路、同居の方の生活音。こうした「消せない音」に対して、変化の少ない音を小さく流し、物音を目立ちにくくするという方法をとる方もいらっしゃいます。どんな音があるかは眠るための音の図鑑にまとめていますので、あわせてご覧ください。せんぷうきのような生活のなかの音については扇風機やドライヤーの音のページで扱っています。

音を使う場合に決めておきたいことを挙げておきます。

  • 音量は「聞こえるか聞こえないか」くらいまで小さくします。決め方は眠るときの音量の決め方にまとめています
  • 途中で大きく変わらない、同じ調子の続く音を選びます
  • 時間がきたら自動で止まるようにしておきます。音を止めるために起き上がらずに済みます
  • ひとつの音だけを流します。いくつもの音を同じ時間に鳴らそうとすると、部屋の音は静かになりません
  • 同居の方がいる場合は、翌朝に一言たずねて、音量を決めておくと安心です

音を足すのは、あくまで静かにできなかったときの次善の策です。窓を閉めれば済む夜に、わざわざ音を流す必要はありません。

一度に全部を変えないこと

最後に、進め方についてひとつだけ。

寝室の環境は、一度に全部を変えないほうが分かりやすいと思います。エアコンの設定を変え、カーテンを替え、枕を新しくし、音を流しはじめる。これを同じ夜にやってしまうと、翌朝の感想がどれによるものなのか分からなくなります。ひとつ変えて数日ようすを見る、というくらいの速さで十分です。

それに、環境は眠りにかかわる要素のひとつでしかありません。資料も、環境づくりと並べて、朝の光の浴び方、日中の運動、食事や嗜好品のとり方を挙げています。寝室だけを完璧にしても、他が変わらなければ手ごたえは出にくいものです。逆に言えば、寝室で完璧を目指さなくてよい、ということでもあります。

環境を見直しても、眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。部屋の工夫で届く範囲には、限りがあります。

よくあるご質問

寝室の温度は何度がよいのでしょうか。

眠るための室温そのものを何度にするという数値は、今回参照した資料では確認できませんでした。書かれていたのは、夏の寝室はエアコンを用いて涼しく保つことが重要と考えられること、冬についてはWHOの住環境ガイドラインが室温を18℃以上に保つことをすすめていると紹介されていることです。まずは、ご自身が暑すぎず寒すぎないと感じる範囲を目安になさってください。

湿度はどれくらいがよいですか。

部屋の湿度を何%にするという数値は、今回参照した資料では確認できませんでした。e-ヘルスネットには寝床内の温度は33℃、湿度は50%が最適とされるという記述がありますが、これは部屋ではなく掛け布団の内側の話です。寝具が湿っぽく感じる、のどが乾いて目が覚める、といった実感を手がかりに調整していただくのが現実的だと思います。

寝室は静かなほうがよいのですか。それとも何か流したほうがよいのですか。

資料に書かれている方向は「できるだけ静かな環境で」です。そのうえで、屋外の音が気になる場合には、防音や遮光の機能があるカーテンに替える、寝床の位置を窓から離すといった工夫が挙げられています。それでも気になるときの選択肢として、変化の少ない音を小さく流し、物音を目立ちにくくする方法をとる方もいらっしゃいます。静かにできるのであれば、まず静かに。これが出発点になります。

出典・参考

※本文の引用は、上記資料の記述をそのまま引いたものです。引用元にあった参考文献の番号は省略しています。寝室(部屋)の湿度については、数値の目安を確認できなかったため掲載していません。

ご注意

この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。

眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。