徐波睡眠とは|ノンレム睡眠の深い段階を指す言葉
「徐波睡眠」は、ノンレム睡眠のなかでも深い段階を指す言葉です。日常では「深い睡眠」と言いかえられることの多い言葉でもあります。ここでは、この言葉が何を指しているのかを、公的な資料の記述にそって整理します。
- 徐波睡眠は、ノンレム睡眠のステージ3、4にあたる段階を指す言葉であること
- 「徐波」は、脳波にあらわれるゆっくりした波のことであること
- 夜の前半に多いとされ、長さについての公的な目安は見あたらないこと
徐波睡眠とは
徐波睡眠(じょはすいみん)とは、ノンレム睡眠のうち、脳波に大きくゆっくりした波があらわれる段階を指す言葉です。英語では slow wave sleep(SWS)と書かれます。厚生労働省 e-ヘルスネットの用語辞典「ノンレム睡眠」には、次のように書かれています。
ノンレム睡眠は睡眠の深さ(脳波の活動性)によってステージ1~4(浅い→深い)の4段階に分けられます。ステージ1では頭蓋頂一過性鋭波、2では睡眠紡錘波およびK複合、3、4では高振幅徐波が出現します。ステージ3、4の段階は徐波睡眠(slow wave sleep, SWS)とよばれます。
(厚生労働省 e-ヘルスネット 用語辞典「ノンレム睡眠」より)
ノンレム睡眠との関係
徐波睡眠はノンレム睡眠の一部です。ノンレム睡眠のほうが広い言葉で、そのなかの深い段階だけを取り出して呼ぶときに、徐波睡眠という言い方が使われます。夢を見る眠りとして説明されるレム睡眠とは、別の区分です。
徐波睡眠は、ノンレム睡眠のうちステージ3、4を指す言葉です。ノンレム睡眠全体を指す言葉ではありません。
「徐波」は脳波の波の形を指しています
「徐波」は、脳波にあらわれるゆっくりした波のことです。眠りが深くなるほど、この波は大きくゆっくりとしたものになっていきます。つまり徐波睡眠という呼び名は、眠りの深さそのものではなく、脳波の見え方から付けられた名前です。
日常では「深い睡眠」と言いかえられることが多く、意味としてはおおむね重なります。
夜の前半に多く、年齢とともに減るとされています
同じ用語辞典には、ひと晩のなかでの移り変わりについて、次のように書かれています。
ノンレム-レム睡眠周期は90~120分間で、後半に進むにしたがいノンレム睡眠の持続は短くなり、睡眠徐波の出現は減少します。
(厚生労働省 e-ヘルスネット 用語辞典「ノンレム睡眠」より)
徐波睡眠は夜の前半に多く、朝に近づくにつれて減っていくとされています。周期そのものについては睡眠の90分サイクルのページでも扱っています。
年齢による変化についても、同じページに記述があります。
加齢とともに徐波睡眠は減少します。
(厚生労働省 e-ヘルスネット 用語辞典「ノンレム睡眠」より)
年齢が上がるにつれて深く眠った感じが減った、という受けとめは、この記述と重なる部分があります。
よくある誤解「深い睡眠を何分増やすかを狙える」
徐波睡眠は「深い睡眠」と呼ばれるため、これを増やす方法、という形の情報を見かけることがあります。ただし、徐波睡眠を何分まで増やせばよい、という数値目標を示した公的な資料は見あたりません。
いっぽうで、同じ用語辞典には次のようにも書かれています。
入眠前の覚醒時間の長さ、覚醒中の身体運動量、精神負荷量が増すとノンレム睡眠も長くなる(深くなる)と言われています。
(厚生労働省 e-ヘルスネット 用語辞典「ノンレム睡眠」より)
起きている時間の長さや日中の活動量が、ノンレム睡眠の長さ(深さ)にかかわるとされています。ここにあるのは向きであって、何分増える、という数字ではありません。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、深さの段階を目標として示す形はとっていません。同じガイドで徐波睡眠が出てくるのは、夕方以降のカフェインで徐波睡眠が減る、という1か所です。数字や方法を見かけたときは、その出どころを確かめると判断しやすくなります。
目安としての受けとめ方
よく聞く言い方と、資料にそった受けとめ方を並べておきます。
| よく聞く言い方 | 資料にそった受けとめ方 |
|---|---|
| 深い睡眠と徐波睡眠は同じ | おおむね重なりますが、もとは脳波に高振幅徐波があらわれることから付けられた呼び名です |
| 深い睡眠は最初の3時間に集中する | 資料にあるのは、後半に進むにしたがい睡眠徐波の出現は減少する、という記述です。時間を数字で区切った書き方は見あたりません |
| 深い睡眠を増やす方法がある | 長さの数値目標を示した資料は見あたりません。ただし同じ用語辞典には、入眠前の覚醒時間や日中の身体運動量が増すとノンレム睡眠は長く(深く)なるとされる、という記述があります |
| 計測アプリの数値が徐波睡眠の時間 | 段階の判別は脳波によるものです。簡易な機器の数値をそのまま同じものとして扱うことはできません |
眠りの深さを分単位で狙って動かすことはできませんが、寝室の明るさや音といった環境は、今夜から確かめられる部分です。夜に流す音の種類については環境音のまとめで、眠りにかかわる生活習慣と環境をまとめて指す言葉については睡眠衛生のページで扱っています。
よくあるご質問
徐波睡眠と「深い睡眠」は同じものですか。
日常の言い方としては、おおむね同じものを指しています。ただし徐波睡眠は、厚生労働省 e-ヘルスネットの用語辞典で、ノンレム睡眠のステージ3、4の段階として説明されている言葉です。もとは脳波に高振幅徐波があらわれることから付けられた呼び名です。
徐波睡眠は、夜のどのあたりに多いのですか。
厚生労働省 e-ヘルスネットの用語辞典「ノンレム睡眠」には、後半に進むにしたがいノンレム睡眠の持続は短くなり、睡眠徐波の出現は減少する、と書かれています。夜の前半のほうが多く、朝に近づくにつれて減っていくとされています。
徐波睡眠を増やす方法はありますか。
何分まで増やせばよいという数値目標を示した公的な資料は見あたりません。ただし厚生労働省 e-ヘルスネットの用語辞典「ノンレム睡眠」には、入眠前の覚醒時間の長さや覚醒中の身体運動量が増すとノンレム睡眠も長くなる(深くなる)と書かれています。何分という数字ではなく、向きを示した記述です。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 用語辞典「ノンレム睡眠」(本文中の引用箇所)
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF・成人版 推奨事項)
- 厚生労働省 睡眠対策
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。